1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「よもちゃん!!」

 急かすように響く声。

 分かってる。分かってる。

 …でも、私は。

「…なめないでください」

 走り出した先にいるのは神野くん。
 相手取っているのは、明らかに分が悪い体格の大きな人。

 神野くんの肩を掴み、走った勢いで跳躍する。
 驚いて隙だらけなその男の腹に思いっきり蹴り込む。

「ぐはっ」

 蹴りの勢いをもろに受けた男は地面にひっくり返る。

 驚く神野くんの背に背を預け、離れたところで状況を見つめる男を睨みつける。

「晴野?」

「すみませんね。私、今反抗期真っ盛りなんです」

「…っは、後で説教な」

「よもちゃん、やるじゃん!」

 雷斗くんも加わって3人で背を預け合う。
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