1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 流石に12月も中旬、雪が降ってもおかしくないのかもしれないですね…。

「…クリスマス」

「へ?」

「予定、あるか?」

 視線を逸らした神野くんの表情は見えなかったけど、少しだけ見える頬は赤くなっていて、それを見た途端、なぜか私の頬まで熱くなる。

 クリスマス?
 よ、予定がないかって…。

 で、でも、クリスマスは家族や恋人と過ごす時だって。
 あ、でも…友達と一緒に…。

 そうだよ。
 友達だから、神野くんは誘ってくれたんです!
 きっとそうに決まっています!

「あ、ありません…!」

「ならさ、どっか行かないか。昼前に出てさ、映画とか…なんかいろいろ…」

「…は、はい!」

 な、なんか緊張します!
 神野くんは友達として私を誘ってくれているのに、なんで恥ずかしいんですか!
 それにさっきからバクバクいっている心臓はどうしちゃったんですか!
 持久走などしていませんよ!!

 私、どうしちゃったんでしょう…。
 なんだか頭がふらふらと…。
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