1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 職員室につくと、神野くんが適当にノックして中に入りました。
 続いて入ってみると授業中ということもあり、先生の数はまばらでした。

「こら、授業中だぞ…って晴野!?」

「お久しぶりです」

 注意しに来たのは担任でした。
 ペコッと頭を下げると、担任はなぜか気まずそうに視線を逸らしてしまいました。

「晴野?」

「公庄先生!」

 担任の後ろから現れた公庄先生は私を見ると安心したように息を吐いて、それからなぜか担任を睨みました。

 公庄先生の視線にますます担任は表情を歪めていきます。

「晴野、応接間に来なさい。…大宮と神野は、授業は」

「俺ら今晴野の護衛中だからでねぇよ」

「そういうこと!」

「…大宮、次のテストで赤点だったら春休みないと思え」

「っえ゛」

 公庄先生のひと言で雷斗くんは真っ青になってしまいました。
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