1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「は、晴野。知り合い?」
「お父さんの後輩なんです。今年確か28歳で、2代目総長さんがここの若頭なんです」
「へ…へぇ…」
神野くんなんだか動揺しまくってますね。
なかなか見られません。レアです。
神野くんの観察をして待っていると、何の前触れもなく門が開いてジャージ姿の男性が飛び出して来ました。
その人は道路まで出るときょろきょろして首を傾げてしまいました。
「若さん、後ろです」
「え?おぉ、よもも!!でっかくなったなぁ!」
「ご無沙汰してます」
手を握られてぶんぶんと上下に手が振られました。
その顔は嬉しそうで笑顔が浮かんでいます。
「よもも~お前来るなら連絡しろ?」
「あ、お供さん!」
頭を鷲掴みにされたので振り向くと、若さんと常に一緒に行動していたお供さんがいらっしゃいました。
「あのな。俺はお供じゃなくて、朋和だ。ともかず」
「お供さんはお供さんなんですよね…」
「おい」
頭を掴む力が増したので若さんを盾に隠れます。
するとお供さんは舌打ちして、何にもしてこなくなるのです。
今も舌打ちして睨んできますが、若さんの後ろにいる限り安全です。