1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「…若さんが望むなら、今から払ってもいいですけど」

「それじゃあ、ここでやってやろうか?友達の目の前で」

「どうぞ?動いてくれるなら、風呂屋に流してもらっても結構です」

 若さんの目が一瞬見開かれましたが、それもすぐに消えて、鼻で笑い飛ばしました。

 次の瞬間、私の体は畳の上に倒されて、若さんの体が乗ってくる。
 頬を撫でられると、私は笑って見せた。

「待ってください!俺が…」

「神野くん。口、出さないでください。…これは、私が頼んだことです」

「でも、お前が!」

「邪魔するなら、出てってくだ…ッ」

「おいおい、俺は騒がれんの嫌いなの。それと、お前もういらねぇから出てけ?お前より、こいつの方が使い道いいしな」

 若さんに口を塞がれて、それ以上声は出せなくなりました。

 若さんに指示されたお供さんが神野くんを部屋から連れ出していく。
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