1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「で、私がダメなら報酬どうすればいいんですか」
「はぁ?んなもんいらね。つうか、よももに言われなくてもとっくに調べてる」
「え、そうなんですか?」
「当たり前だろ。清牙さんは先輩だぞ。それに、清牙さんはこうなることが分かってたみたいでな。もし、よももが来たらちゃんと情報渡すように頼まれてた」
若さんはやれやれと頭を掻いて、ぎゅっと抱きしめてくれました。
「よもも、悪かったな。怖かったろ?」
「…怖くないです」
「嘘つけ。お前のトラウマ知ってんのに、悪いことした。…ちょっと試したかったんだよあいつ」
「…神野くんをですか?」
「あぁ。よももの傍に置いといてもいいか」
少し震えている私の体を、若さんは何度も背を叩いて落ち着かせようとしてくれている。
昔から変わりませんね。本当に。
私が泣いていると若さんは困ったようにずっとあやし続けていたんですから。