1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 その後、しばらく謝られ、解放された頃には帰宅中の学生の姿がちらほら見えていました。

 門の外に追い出されたらしい神野くんは私の姿を見た瞬間駆け寄って来てくれて、何もされてないことを伝えると、重い息を吐き出しました。

「晴野が無事でよかった」

「はい」

「帰るか」

「神野くん」

「ん?」

「…今日、泊まってもいいですか?」

「…いいよ」

 神野くんが差し出してくれた手に自分の手を重ねて歩き出す。

 剣人さんにメールで今日は泊まらない旨を伝えると、分かったという単純な言葉と共に泣いている顔文字が送られてきました。

 神野くんに頼んで一度剣人さんの家に寄り、夜ご飯と朝ご飯を作って、剣人さんが帰ってくるのを待って、一緒にご飯を食べた後、神野くんの家にお邪魔しました。
< 260 / 411 >

この作品をシェア

pagetop