1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「ふぁい」
『よも、眠そうだなぁ。桃が退院するから家戻れ?』
「え、お母さん退院するんですか!?」
『おぉ、目覚めたか。ほんとは後1日入院させたいところだったが、ともとみあもいるからってな。だから、しばらく家に戻って桃と一緒にいろ』
「…分かりました」
『あと、外出るときは変装してな。紅葉と颯人が付き添って退院するから。11時には家にいると思う』
「了解です。わざわざありがとうございます」
『おう。あと朝飯サンキューな。昨日言っとけよ』
「あはは、忘れてました」
『忘れんな。じゃあな。また来いよ』
ブチンと切られた電話です。神野くんにも聞こえていたのか、笑みを浮かべていました。
「よかったな。桃さん」
「ともくんとみあちゃん寂しがってたから喜びますね」
「晴野、何かあったら連絡しろよ」
「分かってますよ。…神野くんも家来ませんか?」
「落ち着いたらお邪魔させてもらうわ。11時だっけ?そんくらいに送る」