1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
あ、そうだ。子守唄歌ってみましょうか。
とはいっても、鼻歌ですけど…。
頭に浮かんだのは、あの有名な子守唄ではなくて、浮かんだままに鼻歌で歌ってみる。
歌詞も、曲名も分からないけど、聞いたことがあるような、そんな歌。
咲は泣いていたのが嘘のように泣き止んで、やがてすやすやと眠ってしまいました。
「ねぇね、もっと!」
「え?…いいよ」
望亜のリクエストを聞きうけ、もう1回です。
歌い終わる頃にはいつの間にか智希も隣にいました。
「ねーねのうた、すき!」
「みあも~!」
「ありがと、でもこれお母さんのだよ?」
「え?よも、私そんな歌知らないわよ」
「え?お母さんが歌ってくれたんじゃなかったの?」
台所の方から聞こえてきた声に思わず耳を疑います。
お母さんじゃなかったらお父さん?