1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「晴野、できたぞ」
「あ、本当だ。懐かしいです」
主に神野くんの手で組み立てられたベビーベッド。
2年前はここに望亜が寝ていたんですよね。懐かしいです。
きれいな布団が敷かれたベビーベッドに早速咲を寝かせてみました。
少しぐずったようにもじもじしましたが、すぐに穏やかな寝顔に戻りました。
「神野くん、ありがとうございます」
「晴野が母親みてぇ」
「秋空くん、それどういう意味かなぁ?」
お母さんの少し低い声に神野くんは慌てて何やら弁解中です。
ねぇ、お父さん。
私あなたに拾われて、幸せを知って、家族が出来て、友達も出来て、とっても幸せなんだよ。
だから、絶対に助けるよ。
そしたら、またお父さんって呼ばせてね?