1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「ねーね」
「ん?」
「パパ、いつかえって来るの?」
智希の言葉に思わず私も、お母さんたちも黙ってしまいました。
2か月弱お父さんは帰って来ていない。
面会に行ったとしても、多分ほとんど話せてないはずです。
智希は寂しいのを我慢して、望亜のことを必死に面倒見てくれていて、でも寂しいんだよね?
「…大丈夫だよ。お姉ちゃん頑張るから」
「帰ってくる?」
「まだ、時間はかかるけど…でも、絶対に帰って来るよ。咲ちゃんが大きくなる前にパパ帰って来なきゃね」
「…うん!ねーね、がんばって!」
「ありがと、ともくん」
撫でるとぎゅって抱きついてきました。
そうだよ、絶対に帰ってくる。
無実で、今までと変わりないようにして、絶対に連れ戻す。
だから、もう少しだけ待っててね。