1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「こうくん、痛い~」

「お前には、しつけが必要みてぇだかんな。こら、ごめんなさいと言え!」

「い~や~」

「こいつっ」

「ッいだい!いだいって!ごめんなさい!もうしないからぁ!」

 大騒ぎするよもちゃんと浩介の姿は完全に子どものそれ。

 でも、分かってるけどムカつく。
 よもちゃんがこんな態度を取るのは嵐鬼の中で浩介だけだ。

 こんなに楽しそうに相手をからかったり、よもちゃんなりの全力でぶつかっていくのも、こんなこと浩介にしかしない。

 分かってる。

 分かってるけど…くそ!あんなにベタベタとくっついて…。
 浩介後で殴ろうかな…。

 あれ、そう言えばこの部屋いつの間にこんな寒くなったんだっけ?窓閉めてこよう。

 と、振り返ったところで、寒気の理由にようやく気が付いた。
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