1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 …やばい。神野ってこんな気出す奴だったっけ?

 これ下手すれば朔夜さん並みじゃないか…?

 よもちゃんよく朔夜さんが気を出すと逃げて来るけど、今は何も気づいてないのかな…。

 頭にグリグリ攻撃を受けたよもちゃんは浩介に抱きついたまま頬を膨らませていて、こっちに気づいている様子はない。

 鈍いんだか、鋭いんだか。

「あれ、よもお前熱でもあんのか?」

「はい?熱ですか?」

 よもちゃんの額に手を当てた浩介は難しい顔をして、よもちゃんは首を傾げて首に触れていた。

 って、熱!?

「よもちゃん風邪引いたの!?」

「え?…そんな熱くないと思いますけど…」

「微熱か?よも、ココア入れてやっから、それ飲んで寝ろ」

 浩介はよもちゃんを強制的にソファに寝かせると、俺からコンビニの袋を奪い取って部屋を出て行った。

 って、奪い取るなよあいつ…。
< 303 / 411 >

この作品をシェア

pagetop