1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「神野くん寒いです…」

「あ?…晴野って意外に寒がりだよな」

 神野くんは困ったように開け放った窓を見ましたが、やがて無言で自分のブレザーを脱ぎ始めて…あれ?
 神野くんのブレザーが私の肩に…。

「くせぇの消えるまで我慢して?」

「…か、神野くんが風邪を…」

「俺は平気。だから、着とけ」

 カッターシャツでいる神野くんはどう見ても寒そうなのに、私の肩を掴んで返そうとするのを阻止します。

 女の子たちは神野くんの睨みを受けてそそくさとじぶんたちの教室におかえりになりました。
 ついでにクラスメイト達はこそこそと何か話しているみたいですね。

 しばらくして窓を閉めた神野くんにブレザーをお返しし、出ていない授業のノートをさらりと見た神野くんは雑談を開始。

 本当に頭がいいみたいですね…。羨ましいです。
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