1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「晴野さ~ん」

 そんな声と共に誰かが抱きついてきました。
 思わず受け止めてしまいましたが、この子誰ですか?

「ひどいです…女の子にさせるなんて」

「え、遥人くん!?」

 失礼ながら肩を持って体を離すと、なんとびっくりです。

 鏡を見ているみたいですね。私そっくりな遥人くんがいました。
 ただ、なんでスカート履いてるんですか?

「え、晴野?」

「すげぇ、よもだ…」

 ケンカをしていたはずの神野くんたちも気付いたようで、再び抱きついてきた遥人くんを見て驚いて固まっています。

 隣の部屋から出てきた紅葉さんとお母さんはなんだか楽しそうです。

「紅葉さん、遥人くんは私が男装した格好にしてくださいよ…」

「ついよ。つい。面白かったのよ」

「それにしても、遥人くんとよも本当に似てるのね。ウィッグ被せて軽く化粧しただけでそれよ?」

 お母さんは不思議そうに遥人くんと私を見比べています。

 そう言われると不思議と似ているんですよね。なんででしょうね…?
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