1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
地下鉄に乗り換える駅に着く。電車を降りて地下鉄の方向に歩き出すと、やっぱり追手さんもついてきます。
あ、私にではなく、雷斗くんたちに。
今は13時。十分間に合います。
地下鉄のホームに行くと、ここでも人が多い。
やっぱり1つ離れたドアのところに乗り込んだ雷斗くんたち。そして、私の近くには追手さんがいる。
「会場へ向かっている模様です」
不意に聞こえた言葉。視線だけを向けると、こそこそと電話をする追手さん。
うわぁ、ルール違反もいいところですね。
でも、確実に確信していますね。遥人くんがあの少年であることに。
後は雷斗くんが上手く逃げてくれるのを願うだけ。