1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 雷斗くんの隠れた物影には既に誰もいなくて、私は1人で歩き出す。

 13時30分。

 大丈夫。間に合う。
 だから、走っちゃダメだ。
 歩いて、さりげなくそっちの方向に行くように。

 目的地のホテルが見えてくる。その正面にはいっぱい警備員がいます。

 それを遠目で眺めつつ、建物の裏に回って、誰の目もないことを確認して作業員の入り口から入らせていただきました。

 え?鍵はどうしたかって?それは秘密です。

 かつら…じゃなくてウィッグを取って、更衣室を発見したのでちょっと拝借。

 化粧を落として、情報屋の格好に変身し、今度はダークブラウンのウィングを被る。
 フードを深くかぶり直せば完成です。

 よし、後はこのまま従業員の通路を通って20階の客室まで移動します!

 従業員たちは駆り出されているのか誰もいない通路をすいすいと移動し、あっと言う間に客室フロアに。

 若さんから教えてもらった部屋を確認して中に入ります。
< 352 / 411 >

この作品をシェア

pagetop