1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
神野くんの準備が完了するとプロジェクターに写す前に頷いてくれました。
さてと、どうしましょうね…。
『待たせたな。で、進行はどうすんの?』
「…」
『だんまり?まぁいいけど。ならさ、提案だ。今からあんたら自分がやったこと白状してくんない?』
「ふざけるな!私たちが何をしたと…」
『したから、俺が声を上げたんだよ。分かってねぇの?』
父親はギリギリと歯を食いしばっています。
気づいてますかね。マスコミの間に流れる父親への不信感。
父親の弁護士らしき男が父親を座らせて、立ち上がりました。
「そちらに希望は?」
『いちいち交互に話すのは面倒だ。一気に話したい』
「分かりました。では、どちらが先に話すか決めましょう」
『後半希望で』
「では、我々からお話しましょう」
この弁護士、もしかして雇われたばかりなのでしょうか。
もしくは、事件が本物だと信じ込まされている。
…だとすれば、あの人を納得させれば終わりですかね…。