1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 次々に出されていく嘘の証拠。
 それを熱心にメモするマスコミの方々、寝てていいですよ。

 でもよくもまぁこんなに虚偽の証拠を作れたものですね。

 ちらっとお父さんに視線を向けると、笑ってくれました。
 うぅ、これが終わったらお父さんに思いっきり甘えましょう!ちょっとくらい許してくれますよね。

 笑い返して視線を戻すと、関口とばったり目が合って、プイッと逸らしておきました。
 ッケなのです。

「えぇ、では蓬さん本人から話をしてもらおうと思います」

「っえ!?」

「…よもちゃん、ドッペルゲンガーでも作ったの?」

 驚かずにはいられませんよ。だって、本人ここに居るんですから。

 関係者席から立ちあがった1人の影。
 その影はうつむきながら対面する席に座りました。父親に肩を抱かれている女の子。

 …誰ですか。

 関口と視線が合うと、勝ち誇ったような笑みを浮かべられました。まさか彼女が最終兵器的なものですか?

 うわぁ、この人たち自分で墓穴掘りましたよ。
 とりあえず拝んでおきましょうか?
< 366 / 411 >

この作品をシェア

pagetop