1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「あ…」
「すみません、娘は容疑者がいることで大変怖がっています」
役者でも連れてきました?
ガタガタ震えている女の子は、時々ちらちらと周囲を窺っています。
とりあえず、あんな状態の子をテレビの前に出そうとか考えますかね普通…。
少し呆れ顔で見守っていると、女の子は父親に付き添われて立ち上がると、マイクを持っていました。
ひたすらうつむいているだけかと思いましたが、恐る恐る顔を上げました。
…ん?
「っぶ…やべ…」
「神野くん、笑わないでくださいよ!」
「い、いや…あれはねぇ」
「ぶぶっ」
「雷斗くん!」
思いっきり不審者状態ですよ!
思いっきり噴き出している神野くんと雷斗くん。
私だって我慢しているんですからやめてくださいよ!