1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「あ…」

「すみません、娘は容疑者がいることで大変怖がっています」

 役者でも連れてきました?

 ガタガタ震えている女の子は、時々ちらちらと周囲を窺っています。

 とりあえず、あんな状態の子をテレビの前に出そうとか考えますかね普通…。

 少し呆れ顔で見守っていると、女の子は父親に付き添われて立ち上がると、マイクを持っていました。

 ひたすらうつむいているだけかと思いましたが、恐る恐る顔を上げました。

 …ん?

「っぶ…やべ…」

「神野くん、笑わないでくださいよ!」

「い、いや…あれはねぇ」

「ぶぶっ」

「雷斗くん!」

 思いっきり不審者状態ですよ!

 思いっきり噴き出している神野くんと雷斗くん。

 私だって我慢しているんですからやめてくださいよ!
< 367 / 411 >

この作品をシェア

pagetop