1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「みなさん、彼女はとても傷ついています。彼女をそんな風にした晴野清牙氏が許されるのでしょうか。彼女は暴行以外にも様々な虐待を受け、今はすっかりあのように毎日震えながら過ごしているのです」

「晴野、今震えてるな?」

「え?早く黙らせて牢屋にぶち込んでやろうと」

「あ、武者震いか」

 ダメですね。完全に緊張感抜けちゃいました。

 というより、何だか会場の同情誘いまくっているんですけど。

 これもう証拠じゃないですよね?

「神野くん、準備」

「了解」

「雷斗くん、マイク机に当てて」

「ん」

 立ち上がって、変声機の電源を付けてから、思いっきり机を殴ってやりました。
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