1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
これを見た時、私も驚いた。
親の離婚だと思っていたから。でも、実際は違った。
そもそも、私の両親は結婚すらしていなかった。母親の戸籍に私の名前を見つけたものの、その戸籍は県外で、身元が分からなかった理由がようやくわかりました。
いきさつは分かりませんが、私は父親にも、母親にも捨てられた。
そういうことになってしまった。
父親の戸籍を見た瞬間にそれが分かって、裏切られた気持ちが強くなって、また神野くんにすがって泣いていました。
父親は立ち上がったものの、何も言えなくなってしまった。
関口は焦っているけど、父親の顔は完全に負けを認めたもので、覇気が全くありませんでした。
「…それでも、蓬は…私の娘だ…」
『あぁ、それはDNA鑑定で分かってる。でも、なんでここまでして連れ戻そうとした?晴野清牙さんを悪人に仕立て上げてまで…』
「違う!!こんなのはったりだ!!」
『関口さん、周り見てくれないか?もう、あんたたちを信用してる人なんかいないよ?』
私の言葉に関口は驚いて周囲を見渡す。
関係者からも、報道陣からも、父親と関口を非難する視線。
さっきまでは真逆だったのにね。
急に慌て出す関口は、机を叩き私を睨んでくる。