1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

『言いたいこと、何でも言っていいですよ?』

「…違う。私はやっていない!!お前はでたらめばかり吐いて、この場を掌握しているだけだ!」

『関口さん、いい加減にうぜぇわ。…清牙さん、何か言いたいことありませんか?』

 お父さんに視線を向けると、お父さんは少し目を見開いた後、笑って立ち上がりました。

 面会に行った日、私を案内してくれた人がお父さんに付き添って、隣まで来てくれる。

 抱きつきたいけど、今は我慢です。

 お父さんの手にマイクを託し、少し下がる。
 お父さんは父親たちに向かい、口を開く。

「私は、蓬を本当の娘同前に愛しています。ありもないことを言われ、逮捕までされました。…私が受けた傷は、まだいい」

 お父さんは一度そこで言葉を切ると、父親を睨みつける。

「…でも、お前たちが蓬にしたこと、俺は許せない。大宮怜、お前、蓬を取り戻して何をさせた?あの子に何をした?蓬が、実の、血の繋がった娘が泣き叫んだ時、お前は何をしていたんだ!!」

 お父さんの言葉に父親の肩が揺れる。

 思わず手がお腹にいったのに気が付いて慌てて引っ込めました。
< 382 / 411 >

この作品をシェア

pagetop