1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
1人ぼっちと1匹オオカミ
全国ニュースで流された速報には、警察の誤認逮捕。晴野清牙氏は無実が証明され釈放。現職の警察官1人と被害者の父親である大宮怜氏が逮捕されたと報じられた。
あのホテルを抜け出すまで報道陣に囲まれていた私とお父さんでしたが、お父さんがしっかりと肩を抱いていてくれたおかげで何も答えることなく抜け出せました。
私はお父さんとお母さんに挟まれてタクシーに乗り込み、急いで家に戻ると、紅葉さんと共にお留守番していた智希と望亜、咲がお出迎えしてくれました。
「パパ!!」
「ぱぁぱ!」
「っん!ふにゃ…」
文字通り飛びついてきた智希と望亜を軽々と抱きとめたお父さんは、しがみ付いてくる2人をきつく抱きしめて、お母さんの抱いた咲を見ると、泣きそうな顔をして笑っていました。
「よも、よくやったね!全部見てたよ」
一緒に待っていてくれた紅葉さんが抱きしめてくれたので、抱きつき返しちゃいました。
少し遅れて到着した剣人さん、俊也さん、颯人さんも戻って来て、俊也さんは髪の毛をぐしゃぐしゃにして褒めてくれました。
ついでに、そんな俊也さんをお父さんが蹴り飛ばして私を抱きしめたのは別の話です。