1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 少し大騒ぎした後。私は今、家から歩いて5分ほどの位置にある公園に向かっていました。

 あ、ちゃんと着替えましたよ。

 夕日が街を包んでいて、今日あんなことがあったなんて嘘みたいです。

 のんびりと公園への道を歩いて向かいます。まだまだ2月。寒いです。

 そんなことを思いながら歩いているとようやく見えた公園。
 公園のベンチには、1人の人影があって、思わず入り口で足を止める。


 ねぇ、ちゃんと話すようになってからまだ5か月しか経ってないんですよ?それなのに、いろんなことがあって、いつだって助けてくれましたよね。

 手を引っ張って、前を歩いてくれましたよね。

 私は、あなたと出会えて、幸せでした。

「…誰?」

 あ、何だか前もこのパターンですね。

 思わずくすりと笑ってしまうと、立ち上がってこちらを向いた神野くんも笑っていました。
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