1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「待たせましたか?」
「うんや?…それより、よかったのか?」
「はい。…家族水入らずの時間も、必要ですから」
「それ、清牙さんの前で言ってみろよ」
「断固拒否させていただきます」
真剣な顔をして言ったのに、何だか2人同時に噴き出して笑ってしまいました。
神野くんは私の手を掴んで、ベンチに座らせてくれました。
もちろん隣に神野くんも座りました。
何となく、何も言わずに空を眺めました。
でも、さっき掴んだ手はそのままで、繋いだ手がとっても温かかったです。
「なぁ、…もう、大丈夫か?」
「…はい」
約束したことがある。