1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 自分のことで泣くあきくんを見るのは、これが初めてでした。

 プライドも、メンツも全部捨ててここに居たのは、幼いままの男の子。
 あきくんがそうしてくれたように、落ち着くまで抱きしめていました。

 しばらくして離れていったあきくんは目は真っ赤だけど、いつものあきくんがいて、少しだけ恥ずかしそうに笑いました。


「…俺の欲しい情報はひとつだけだから。…頼んだぜ、情報屋。お前は、どんな情報でも手に入れるんだろ?」


「…私はそんなすごい人じゃないですよ?ですが、その期待に沿えるよう、探し出して見せます」


 差し出された手を握り返し、笑いかける。

 真っ赤な目をしたあきくんは、どこか安心したように微笑みました。
< 404 / 411 >

この作品をシェア

pagetop