1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
自分のことで泣くあきくんを見るのは、これが初めてでした。
プライドも、メンツも全部捨ててここに居たのは、幼いままの男の子。
あきくんがそうしてくれたように、落ち着くまで抱きしめていました。
しばらくして離れていったあきくんは目は真っ赤だけど、いつものあきくんがいて、少しだけ恥ずかしそうに笑いました。
「…俺の欲しい情報はひとつだけだから。…頼んだぜ、情報屋。お前は、どんな情報でも手に入れるんだろ?」
「…私はそんなすごい人じゃないですよ?ですが、その期待に沿えるよう、探し出して見せます」
差し出された手を握り返し、笑いかける。
真っ赤な目をしたあきくんは、どこか安心したように微笑みました。