1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 あきくんはきょとんとした顔をしましたが、やがて大きなため息が。
 額に手を当てて、思いっきりついたため息です。

「…やだ」

「え?」

 グザッと心に突き刺さる。

 あう、図々しいにもほどがありましたか…。でも、あきくんはお友達です。
 いつか友達じゃなくなっちゃうなんて悲しいです。

 しょぼんと下を向いていると、視界にあきくんの靴が入ってきました。
 そして、ぽんっと頭に乗る温かい手。

 顔を上げると苦笑を浮かべたあきくんがいました。

「友達以上とかあんだろ?」

「ふえ?」

「俺は、蓬と友達以上になりたいってこと」

 ぽんぽんと頭を撫でられました。

 えっと、私の表情今ゆるゆるですよね?

 えへへ、さっきのしょぼんな気持ちから一転、ニマニマしちゃいます。

 そんな私にあきくんは手を差し出してくれて、その手を握り返す。

 今度は離さないで、一緒に歩き出す。
< 406 / 411 >

この作品をシェア

pagetop