1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
あきくんはきょとんとした顔をしましたが、やがて大きなため息が。
額に手を当てて、思いっきりついたため息です。
「…やだ」
「え?」
グザッと心に突き刺さる。
あう、図々しいにもほどがありましたか…。でも、あきくんはお友達です。
いつか友達じゃなくなっちゃうなんて悲しいです。
しょぼんと下を向いていると、視界にあきくんの靴が入ってきました。
そして、ぽんっと頭に乗る温かい手。
顔を上げると苦笑を浮かべたあきくんがいました。
「友達以上とかあんだろ?」
「ふえ?」
「俺は、蓬と友達以上になりたいってこと」
ぽんぽんと頭を撫でられました。
えっと、私の表情今ゆるゆるですよね?
えへへ、さっきのしょぼんな気持ちから一転、ニマニマしちゃいます。
そんな私にあきくんは手を差し出してくれて、その手を握り返す。
今度は離さないで、一緒に歩き出す。