1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

『…なら、なんで探そうとする。どうやら、これはあんた1人の独断のように思える』

「仕方ないじゃない。私の子どもじゃ、あの人の会社は継げない。このままじゃ、私はまた貧乏暮しよ」

『…つまり、お前の私利私欲のために夫の血を引いた子を探そうと?』

「えぇ、そうよ。その子を連れ戻したら、あの人は私を傍に置いておいてくれるわ」

 呆れた、そんな理由で今まで見向きもしなかった子どもを連れ戻す?

 ふざけないで。

 こんな人に利用されるために、私は生まれてきたんじゃない!!
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