1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「大宮、呼んでるぞ~」

「え?あぁごめん!」

 クラスメイトに声をかけられ、雷斗くんは慌てて席を立つと廊下に行く。

 雷斗くんがいなくなると途端に静かになりました。

「…晴野」

「はい?」

「…25日なら、一緒にどっか行けるか?」

「え?」

「24日はいつも嵐鬼で遊んでるんだろ?なら、行って来いよ。その代わり、25日は絶対な」

「…ありがとうございます。神野くん」

 神野くんの優しさが温かくて、思わずホッとしてしまいます。
 頭を撫でてくれる神野くんに、思わず目を閉じましたがなんだか気持ちよくて勝手に笑みが浮かびます。

 そうしている間に雷斗くんが戻ってきて、神野くんが廊下に出る。

 あ、雷斗くんと神野くんは名簿番号が前後なんです。
 すれ違った時、お互いを睨みあいましたが、ケンカすることなくすれ違いました。
< 54 / 411 >

この作品をシェア

pagetop