1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 微笑んだ神野くんに笑みを返すと、後ろからガタンっと音が聞こえました。

 あれ、なんか寒気がする…。

「神野?何言ってんだ?よもちゃんはクリスマス、家族で過ごすのが毎年の決まりなんだよ」

「は?晴野がいいって言ってんだから、てめぇが口はさむんじゃねぇよ」

 なんでまたバチバチ火花が放るんでしょうね?

 寒かったのに今はちょっと暑苦しいです。

「よもちゃん、クリスマスいいの?」

「へ?あ、はい。お母さんが夕方までに帰っておいでって言ってました。あ、神野くん、強制連行の命が下ってます」

「マジで?」

「大マジです。お父さんが神野くんも一緒にケーキ食べようって言ってました。多分剣人さんたちも集合されますが…」

 そういえばお母さんとお父さんがなんの前触れもなしに朝そう言っていたんですよね。

 いけないいけない。言わなかったら後からが怖いです。

 神野くんは苦笑して、分かったと言ってくれました。

 ふぅ、これでお父さんとお母さんに怒られません。
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