1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
『交渉決裂だ』
「は?」
『そんな理由で、その子を探そうというならやめろ。二度と、関わろうとするな』
「な、ちょっと待ちなさいよ!!」
立ち去ろうとした途端、焦ったように腕を掴まれる。その手を、すぐに振りほどく。
『今の話、警察に話そうか』
「ッ!?」
ちらりと視線を向けた先には見回りをしている警官がいる。
すぐにそのことに気づいて視線が外れた隙にその場を立ち去ります。
パーカーを脱いでしまえば絶対にばれない。早足に神野くんの元にたどり着き、そのまま手を引いて歩き出しました。
多分、ただのカップルに見えるはずです。
「…ハル?」
少し躊躇った後、神野くんは情報屋の名で私を呼びました。
でも、いま返事をしたら泣き出してしまいそうなので何も言いません。