1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「神野くん、ありがとうございました」

「なんだよいきなり」

「神野くんが教えてくれたから評価が上がったみたいなものですから!」

「晴野の努力の証だろ?俺はただ、教えただけなんだからさ」

 フッと笑みを浮かべた神野くんは頭を撫でてくれました。

 なんだかあったかくて気持ちがいいです。表情に出ていたのか、神野くんはいっぱい頭を撫でてくれました。

 えへへ、なんだか嬉しいです。

 と、頭を撫でられているとちらりと見えた雷斗くんが自分の成績表を見て絶句しています。

 どうしちゃったんでしょうか…。

 気になっていると先生が戻ってきて教壇につきました。
 いつもはだらだらなクラスメイト達は大急ぎで自分の席に戻ります。全員が座ったところで先生は咳払いをする。

「え~、赤点だった者は明日から再試だ。クリスマスを楽しく過ごしたい奴は明日で合格すること。あと、休みだからってはめ外すなよ。それじゃ、解散」

 話が終わるとすぐにざわめきが戻ります。中には頭を抱えている生徒も…。追試だったみたいですね。

 あれ、私の後ろにも頭を抱えた人がいます。
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