1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「…雷斗くんまさか…」
「…大丈夫、絶対1日で合格する!!」
「ッぶ…嘘だろ、ありえねぇ…」
「黙れ神野!!」
「大宮!ケンカするなよ!!」
なぜか雷斗くんだけに飛ぶ先生からの注意。
お腹を抱えて大笑いする神野くんに雷斗くんは食いかかろうとしますが、どう考えても雷斗くんが劣勢なわけで、怒りを抑え込んでいるのがよく分かります。
「はぁあ。笑った笑った。晴野、帰ろうぜ」
「あ、待ってください!えっと、雷斗くんがんばってね?」
さっさと歩き出してしまった神野くんを慌てて追いかけます。
1人残った雷斗くんが、複雑な表情を浮かべていたことを私は気づきませんでした。