1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「あ、そうだ初めましてです!でも、雷斗さんから晴野さんのことはよく聞いてます!」
「え?なんで雷斗くんが…」
「え?晴野さん、雷斗さんと…」
「は~い、そ・こ・ま・で!!」
「うぎゃ!?」
視界から一瞬で男の子が消えました。代わりに目の前には雷斗くんです。
男の子は雷斗くんの脳天チョップを盛大に食らったみたいです。うわぁ、痛そう…。
「ッ~!!いきなり何すんすか!」
「バカ、余計なこと言うな。よもちゃん、行こ」
雷斗くんはづかづかと私の腕を掴んで突き進んでいきます。地味に痛いです。
倉庫の中はすでに大盛り上がりで、あちこちで大笑いが飛び出しています。
あ、お酒は転がっていませんのでご安心ください。
「おぉ!雷斗さんやっと合格できたんすね!」
「うるせ!わざとらしくさん付けすんな!!」
年上の先輩に対して思いっきりため口ですが、そこは幹部。威厳ありますね。
げらげらと笑っている先輩方、お酒が入っていないのに酔っ払いみたいです。