1番目の小夜子

ゲームスタート

少し肌寒い。
足音が真っ暗な廊下に響く。

美希は震えていた。

それは自分の足音なのに恐ろしくてたまらなかった。
この大きな空間に自分1人しかいない。
なぜか世界に自分だけ取り残されたような気がしてしまった。

それだけならまだいい。
一人だけならまだいい。

誰かいる気がする。
ひとりぼっちは怖い、だけど相手が分からない二人ぼっちはもっと怖い。

美希は急ぎ足で教室に入った。

『これで最後だよね。』

美希は花瓶をそっと教卓に置き、赤いバラを1本そっと入れ、ため息をついた。

ひどく疲れた。
恐怖と満足と緊張と興奮と…たくさんの感情がめぐる。

美希は時計を確認した。
7時を少し回っていた。

『計画どうりね』

美希は安堵し微笑み階段降りて行った。
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