【完】ある日、恋人を購入した。

でも、あたしはめげずに言ってみる。



「ね、チューしてよ。尚叶くん」

「…むり」

「何で?あたしを愛してるなら今ここでできるでしょ?」



あたしはそう言って、やっと追いついて尚叶くんの隣に並ぶけど、一方の尚叶くんはあたしの方を見ようともしてなくて。

でも街頭で姿を照らされた瞬間、まだ顔が赤くなっているのが見えて思わず笑ってしまった。



「…かわいいな」



そしてあたしが思わずそう呟くと、尚叶くんがいきなり軽くあたしの頬をつねってくる。



「うるさいよ」

「いーひゃーいー」



だけどその手はすぐにあたしの頬から離れて、その隙にあたしは尚叶くんに言ってみた。



「じゃあ、帰ったらチューして!」

「…知らない」



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