【完】ある日、恋人を購入した。
「も、もう帰っちゃうの!?」
「?」
「まだ、デートは始まったばっかだよ!」
だけど尚叶くんの言葉に納得がいかないあたしは、必死にそう言って尚叶くんを引き留める。
まさか…最初から“映画を観る”ことだけが目的だったの?
尚叶くんは、あたしともっと一緒にいたいっていう感情は無いの?
しかしあたしが引き留めると、尚叶くんが言う。
「…え?だって、映画は観たし」
「!」
「じゅうぶんデートは楽しかったでしょ」
そう言うと、凄く不満げな顔をするあたしを見つめる。
…愛が足りない。
あたしはそう思うと、何だかそんな尚叶くんにムカついて、言った。
「っ、じゃあいいよ!今日はもう“終わり”で!」
「!」
「今夜のデートは楽しかったですさようならっ!」