【完】ある日、恋人を購入した。

あたしは物凄く棒読みでそう言うと、クルリと尚叶くんに背中を向けて、その場を後にする。



「…~っ」



ああもう何だかイライラしてきた。


ふんっ。今頃あたしのことを追いかけてきたって、もう今日は帰っちゃうもんね!

何よ尚叶くんなんか!乙女心ちっともわかってくれないじゃない!


あたしはそう思いながら、独りずんずんとマンションまでの道を歩く。

…でも、尚叶くんは全然追いかけて来ない。

だけど今振り向くわけにもいかないから、あたしは強がってどんどん尚叶くんから離れてしまった。


……こういう時は、普通追いかけるんだよ。

バカヤロー


そして結局、その夜はマンションで独りで過ごすハメになった…。



******



「え、尚叶くんとうまくいってないの?」

「…ハイ」

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