【完】ある日、恋人を購入した。
そのあと何故か、電話越しに尚叶くんが黙り込んだ。
…ん、あれ?
「ちょっと、尚叶くん?」
聞いてる?
しかし、あたしがそう言おうと口を開いたら、それを遮るように尚叶くんが言う。
「……ほんとは、あの日…」
「?」
「あのラブシーンが凄い映画、観たあとだったから…友香と二人きりになるの、怖くて」
「え、」
怖い?
って、何で?
あたしが尚叶くんの言葉に疑問を持っていると、尚叶くんが言葉を続ける。
「……二人きりになったら、あのまま友香を傷つけそうで」
「…」
「だって…俺だって“男”だし」
理性がきかなくなったら困る。
と、首を傾げるあたしに、尚叶くんは確かにそう言った。