【完】ある日、恋人を購入した。
…そして結局、尚叶くんに上手い具合に流されてしまうあたし。
仕事後の食欲には勝てなくて、焼肉に負けてしまう…。
…不思議だ。
尚叶くんと一緒にいると、頭ん中にあった神崎くんのことも、今は少しだけ消えている。
あたしが尚叶くんの腕にぎゅっと寄り添うと、尚叶くんは「どした?」って首を傾げてあたしを見た。
「…んーん。何もない」
「そう?」
「あたしは尚叶くんのこと好きだよー」
「…そう、」
さりげなくあたしはそう言ってみたけれど、何故だか尚叶くんの反応が薄い。
…まぁきっと、照れてるのが一番の原因なんだろうけど。
ねぇ尚叶くん…もっと強く、あたしを引き寄せてよ。
あたしがどこにも行かないように、強く強く…
「あ、ねぇ尚叶くん」
「ん?」
「あたしの友達がね、尚叶くんのこと見たいんだって。今度皆で飲み会しない?」