【完】ある日、恋人を購入した。
あたしはそう思うと、ふと座っていた椅子から立ち上がって言った。
「シュウさん、あたしそろそろ帰ります」
「え、もう?」
「はい。…もう一時間もここにいますから」
「…」
そう言って、脱いでいたコートを羽織る。
善は急げ。早く帰って思い出の品を捨てなきゃ。
持ってるままじゃ尚叶くんに悪い。一応結婚まで決まってる相手だし。
あたしはそう考えると、鞄を肩にかけて…
「じゃあ、また来ます」
「…っ、」
と、そう言って軽く会釈をし、入口のドアに手をかけた。
しかし、次の瞬間…