【完】ある日、恋人を購入した。
あたしの働く会社は、基本的に社員皆仲が良い。
まぁそもそも会社がそんなに大きくないし、社員も少ないせいもあるんだろうけど、今年の春ごろまでは毎週と言っていいほどこうやって女子会を開いては皆で騒いでいた。
それなのに…
夏になったあたりから、それはほとんどパタリと無くなった。
今日こうやって女子会を開いているのは、先輩の「みきほさん」が珍しく皆を誘ってくれたからで、
最近じゃ皆、やたら彼氏を優先していて女子会が出来なかったのだ。
みきほさんは、優しくて何でも出来て、皆の憧れの的。
それにルックスもいい美人だし、だからあたしが有唯くんにフラれたあたりに結婚した。
…ただ、みきほさんの唯一の欠点は…
「トモちゃん、どうしたの?ぼーっとして」
「えっ、あ…」
一見、何を考えているのか全く分からない謎の部分が多いところだと思う。
あたしが思わずぼーっとしていたら、それに気づいたらしいみきほさんが声をかけてきた。
「何か別の頼む?トモちゃん、ビール減ってないし」
「あー…いえ、もう十分飲んだんで」
「え、まだまだこれからよ。せっかくの女子会なんだし」