【完】ある日、恋人を購入した。
「!」
「正しくは、“俺がお客さんにとって一番相性が良いパートナーを探して、紹介する店”。
ただ単に恋人を売ってるわけじゃない。
そもそもそれだけだったら返品不可なんてことにはなってないだろ」
シュウさんはそう言うと、尚叶くんから顔を背けて資料棚の方に歩み寄る。
資料棚はカウンターの中にあって、店に入った時点で一番目立つ大事なもの。
シュウさんはその資料棚に寄り掛かると、再び尚叶くんの方を振り向いて言った。
「…まぁ確かに、夕べ友香ちゃんに突然あんなことしたのは悪いと思ってる。
もちろん、友香ちゃんだけにね。途中でまんまと逃げられたわけだし」
「…」
「けど、俺は止めないよ。
だって本当に友香ちゃんと相性が100%良いって結果が出てるのは…
お前じゃなくて、
この俺だから」