【完】ある日、恋人を購入した。
シュウさんのその言葉に、尚叶くんはシュウさんから目を逸らす。
そう。本当は、最初から商品は尚叶くんじゃなくて…
でも、尚叶くんが逸らしていた目をまたシュウさんに戻すと、言った。
「…けどシュウは俺に売ってくれた」
「ああ。あの時はまさか自分の相手が友香ちゃんだなんて思わなかったからね。お前の押しに負けたのもあるけど」
「…」
「…最初はどうでもよかったけど、相手(尚叶)を売ると偽って友香ちゃんにたくさん手続きをさせた時とか(本当は商品登録)、
本当は友香ちゃん自身がお前に買われるとも知らずにここで嘘の購入手続きをした時、さすがに可哀想に思ったなぁ俺は」
シュウさんはそう言うと、また尚叶くんに言葉を続けて言う。
「今なら特別に返品がきくけど?」
「!」
「お前の購入と、俺の販売はルールに違反してるからね。どうする?」
「…っ…」
シュウさんは尚叶くんにそう問いかけて、首を傾げる。
…確かに、友香の気持ちを考えないで悪いことをしているのは知っていた。
けど、どうしても欲しかったのは事実で…。
「……いや、返品はしない」