【完】ある日、恋人を購入した。
「どれくらい恋人がいないの?」
「作る気はないの?」
「どんな人が好みなの?」
「芸能人で言えば誰が好き?」
そして、だんだん酔いが回って何がなんだかわからなくなるあたしに、まだみきほさんからの質問攻めは続く。
「トモちゃん、今好きな人はいないの?」
「いたら教えてよ。ほら、」
「あ、一目ぼれとかしたことある?」
「あたしが誰か紹介してあげようか?どんな人がいい?」
その質問攻めにもう呂律がまわらないくらいにあたしが酔いつぶれていたら、みきほさんがいつもと同じ笑顔で優しくあたしに言った。
「トモちゃん、この後時間ある?ちょっと付き合ってもらいたいんだけど」
「…す、すみ…せん。あーし、もう…」
「トモちゃんに紹介したいお店があるの」
「…?」
その言葉とともに浮かべた、みきほさんの笑顔を見たその後から、あたしの記憶はプツリと途絶えた───…。