【完】ある日、恋人を購入した。

目の前に広がる見知らぬ部屋に、あたしは回らない頭をつかって必死に考える。

唯一思い出せる最後の記憶は、みきほさんがあたしに「付き合って欲しい場所がある」って言ったこと。

でもその後から、その場所がどんな場所だったかなんて、知らない。


あたしは何だか急に不安になって、薄暗い部屋の中を静かに歩いて、入口のドアに近づいた。



「…、」



ガチャ、と扉を開けると…そこはやっぱり見知らぬ廊下が広がっている。

でも部屋とは違って電気がついていたから、ほんの少しだけ安心しながら奥へと進んだ。


そして、それだけじゃまだ怖くて、あたしは恐る恐る廊下で声をかける。



「み、みきほさん?みきほさん、いますか?」

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