【完】ある日、恋人を購入した。
「…え、」
尚叶くんはそう言ってあたしの返事を待つけれど、
でも、一方のあたしは急な言葉に頭があまりついて行かない。
え、どこ行く気?
ってか、いっぱい荷物用意してって…いや、意味がよくわかりませんが?
「…別に、逢うのはいいけど」
「…」
「っていうか、どこ行く気?」
いっぱい荷物用意してって、何?
しかし、あたしがそう聞こうとしたら…
尚叶くんが、そんなあたしの言葉を遮って言った。
「!っ…そ、それは内緒だから教えられない」
「!」
「と、とにかく待ってて。連休の初日に迎えに行くから!」
尚叶くんはそれだけを言うと…
あたしの言葉を聞かずに、一方的に電話を切ってしまった。
「え、あ、ちょっと尚叶くん!」
………
「…切れたしよー」