【完】ある日、恋人を購入した。
ふいに明かりが灯る部屋から、そんな男の人の声が聞こえてきた。
その言葉と、「みきほ」の名前を聞いて、あたしはふと歩く足を止める。
あ…
みきほさん、ここにいたんだ。
あたしがそう思って安心していると、中からみきほさんの声が聞こえてくる。
「ええ。仕事はちゃんと合ってるわ」
「…そ、」
「でも、意外ねー。貴方がこんな要望も受けるなんて」
…話している内容はよくわからなかったけれど、酔いつぶれたあたしをみきほさんはきっと運んでくれたんだし、声くらいかけた方がいいよね。
あたしはそう思うと、軽くノックをしてそこに顔を覗かせた。
コンコン
「…みきほさん…?」