【完】ある日、恋人を購入した。
って、何それ意味がわかんない。
「あの…恋人屋、って…?」
その言葉にあたしがそう問いかけると、みきほさんがそれに答える。
「そのままの意味よ。この店では、恋人を売っているの」
「…あ、えっと…ロボット、とかで…ですか?」
「いいえ、普通に生身の人間よ。ほら、レンタル彼氏とか聞いたことない?それの“販売”版」
「!」
みきほさんはそう言うと、「トモちゃん今彼氏いないから、ちょうどいいかなぁって思って」といつも通りの笑顔を浮かべる。
いや、ちょうどいいって。
じゃあここ、明らかに怪しいお店なんじゃないの!?
生身の人間を売ってるって!
だからあたしは、みきほさんから目を背けると、言った。
「……あたし帰ります」